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もりぐち便り~守口市駅前のいち司法書士のつぶやき~

○生活保護と車保有

 生活保護については、受給者の増加や不正受給、それに対する水際作戦についてなど何かと話題になっています。

 先日、生活保護の申請において自動車を保有していたことがネックになったという話を聞きましたので、今回は生活保護と車の保有についてです。

 原則として、生活保護受給者の自家用車の保有は認められていません。保有だけでなく、借用も認められていません。が、以下のような場合には認められることがあります。

 障害者が通勤に利用する、もしくは障害者が通院等のために定期的に自動車が必要である場合です。ただし、障害等のために公共交通機関の利用が著しく困難であり、自動車による通院等以外が極めて困難な場合であって、処分価値が小さいもしくは障害者用に改造してあること、通院等に必要最小限の大きさ(排気量制限など)であること、維持費につき勤労収入や障害者加算、親族等の援助で賄えること、運転者は障害者自身もしくは通院等の場合は生計同一者、常時介護者に限ること、などの要件があります。

 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が車で通勤する場合や、公共交通機関の利用が著しく困難な地域にある勤務先に車で通勤する場合、深夜勤務に従事する者が車で通勤する場合にも、自家用車所有が認められる場合があります、ただし、当該地域の自動車普及率や、当該地域の自動車を保有しない低所得世帯との均衡を失しないこと、自動車の処分価値が小さく、通勤に必要な範囲の自動車であること(排気量制限など)、当該勤務による収入で維持費を賄えること、などが要件です。

 公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者が通院等のために定期的に車が必要であって、送迎サービスやタクシー利用によることが困難な場合も、認められることがあります。その場合も、処分価値が小さく、通院等に必要最小限(排気量制限など)のもので、維持費につき他から(親族等)の援助で賄えること、運転者は当該本人もしくは生計同一者、常時介護者に限る、などの要件があります。

 その他、保育所送迎のため(公共交通機関により利用可能な保育所がないとき)にも、収入で維持費を十分に賄える場合で処分価値の小さい必要最小限の車であれば認められることがあったり、また現に通勤に利用していなくても、概ね6か月以内に就労により生活保護から脱する見込みの者であって保有する車の処分価値が小さいものであれば、処分せず保有が認められることもあります。

 なお、自家用ではなく自営業を営む者の事業用の車は保有が認められています。

 

 生活保護受給者の車の保有についてはこのように非常に限定的であり、やはり原則として保有は認められないと言わざるを得ないでしょう。

 ただし、車を保有しているから生活保護を申請できないのではありません。車を保有していることを理由に生活保護の申請自体が受け付けられないならそれは違法ですので、専門家にご相談ください。

 


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2013-04-03 14:26:07 | RSS