○相続のお話~身内がいなかったら
ケアマネさんなどとお話させていただいた際にたまに話題になるのが、頼れる身内のいない方の問題です。
例えば、急に入院となった場合に、保証人等の欄に名前を書いてくれる人が誰もいないとしたら不安ですし、(無いに越したことはないですが)万一のことがあってお亡くなりになってしまった時などには、お葬儀や納骨はもちろんのこと、施設入所や病院に入院していたらそこの片付けや荷物の引取りも必要ですし、施設利用料や入院費など支払いが残っているかも知れません。
こういったことを誰に頼めばよいのでしょうか。ちなみに、遺言書というのはあくまで自身の死後に残った相続財産をどう処分するかを決めておくだけで、こういったことには対処できません。(書いてもいいですが、達せられる保証はありません。)
この場合、既にご本人の判断能力が不十分である等の状態であれば、成年後見・保佐・補助制度(法定後見制度)を利用することによりほぼ解決されると思います。ただし、お葬儀や納骨、遺産の分配などの亡くなった後の事務については、法定後見制度だけでは万全とは言えない部分もあります。
判断能力が十分におありな方の場合ですと、任意後見契約の利用を検討することになります。任意後見契約は、自身がしっかりしておられるうちに、自身が認知症や脳卒中等により判断能力が低下した時にどのような支援を受けたいかということをあらかじめ決めておく方法です。
また、任意後見では、自身の死後のことも委任することができるのが法定後見にはない点です。葬儀の方法、納骨する場所、遺産の分配方法、相続人以外の方へのお礼や寄付など、細かく委任しておくことができます。
信託銀行がおこなっている財産管理業務や遺産整理業務、遺言信託に似ている部分もありますが、信託銀行が財産の面だけを扱うのに対し、お葬儀や納骨、遺品の整理等の事実行為なども委任することができるのが、任意後見の優れた点です(財産の面では、運用できるという点において信託銀行の方が有利な点もあります)。また、任意後見なら自宅まで現金を届けることができますが、信託銀行の場合ですと口座に振り込むまでではないでしょうか。
外に、財産管理の面で言えば、社会福祉協議会が行っている金銭管理サービスや、民事信託などもあります。前者は費用も低廉ですし、担当者が家まで来てくれるので便利なのですが、大変人気があってなかなか利用できないようです。後者は、事業承継など後継問題がなければ、現段階では特にこれを選ぶ実益に乏しいように思います。
最近では、身内がいてもそちらを煩わせたくないから、とのことで任意後見等を選ばれる方もいらっしゃいます。任意後見は、確かに費用はある程度かかりますが、もしもの時のためにご検討なさっても損はない制度だと思います。
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